大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

津地方裁判所 平成9年(わ)15号 判決 1997年5月13日

本店所在地

三重県鈴鹿市西條町一〇四九番地の一

東海興産有限会社

(代表取締役 小河明邦)

本籍

三重県鈴鹿市庄野共進二丁目三三七二番地の一

住居

同市末広町五三〇〇番地の三四

会社役員

小河明邦

昭和一四年一二月二三日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官野本昌城出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人東海興産有限会社を罰金一八〇〇万円に、被告人小河明邦を懲役一年に処する。

被告人小河明邦に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人東海興産有限会社(以下「被告人東海興産」という。)は、三重県鈴鹿市西條町一〇四九番地の一に本店を置き、売店及び自動販売機による商品販売などを目的とする有限会社、被告人小河明邦(以下「被告人小河」という。)は、被告人東海興産の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人小河は、被告人東海興産の業務に関し法人税を免れようと企て、自動販売機による商品売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成四年一〇月一日から平成五年九月三〇日までの事業年度における被告人東海興産の実際所得金額が七三五四万五一八六円であった(別紙一の一の修正損益計算書参照)のに、平成五年一一月三〇日、三重県鈴鹿市神戸九丁目二四番四五号の所轄鈴鹿税務署において、鈴鹿税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右事業年度における正規の法人税額二六八一万九三〇〇円を免れ(別紙一の二のほ脱税額計算書参照)、

第二  平成五年一〇月一日から平成六年九月三〇日までの事業年度における被告人東海興産の実際所得金額が六一一二万五〇八五円であった(別紙二の一の修正損益計算書参照)のに、平成六年一一月三〇日、前記鈴鹿税務署において、鈴鹿税務署長に対し、欠損金額が八七一万五七四二円で納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右事業年度における正規の法人税額二二一六万一八〇〇円を免れ(別紙二の二のほ脱税額計算書参照)、

第三  平成六年一〇月一日から平成七年九月三〇日までの事業年度における被告人東海興産の実際所得金額が六八六七万二四九六円であった(別紙三の一の修正損益計算書参照)のに、平成七年一一月三〇日、前記鈴鹿税務署において、鈴鹿税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右事業年度における正規の法人税額二四九九万二〇〇〇円を免れ(別紙三の二のほ脱税額計算書参照)

たものである。

(証拠)

判示全事実につき

一  第一回公判調書中の被告人小河の供述部分

一  被告人小河の検察官(乙一二)及び大蔵事務官(一一通、乙一ないし一一)に対する各供述調書

一  有冨秋男(甲一八)、佐古田宣章(甲二〇)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一一通(甲一ないし一一)

判示第一の事実につき

一  鈴鹿税務署長作成の平成五年一一月三〇日申告の法人税確定申告書の証明書(甲一二)

判示第二の事実につき

一  鈴鹿税務署長作成の平成六年一一月三〇日申告の法人税確定申告書の証明書(甲一三)

判示第三の事実につき

一  鈴鹿税務署長作成の平成七年一一月三〇日申告の法人税確定申告書の証明書(甲一四)

(法令の適用)

判示各所為

被告人東海興産につき 法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により同条二項

被告人小河につき 法人税法一五九条一項(懲役刑の選択)

併合罪の加重

被告人東海興産につき 平成九年法律第九一号附則二条二項により刑法四五条前段、四八条二項

被告人小河につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

被告人小河につき 刑法二五条一項

(量刑の理由)

被告人小河は、被告人東海興産及び自己の家族のため、売店や自動販売機による商品売上等の収益がありながら、自動販売機による商品売上を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、平成四年一〇月から平成七年九月までの三事業年度における所得金額が零か欠損であるとして虚偽の法人税確定申告書を提出し、合計約七三九七万円の法人税を免れたものであり、被告人小河及び被告人東海興産の刑事責任は軽視できない。他方、被告人東海興産は、修正申告をした上、本税及び附帯税を納付し、被告人小河は、経理方法を改善し、今後同様な犯罪をしないと述べていることなどの事情を考慮し、被告人東海興産を罰金一八〇〇万円に、被告人小河を懲役一年に処し、その刑の執行を三年間猶予する(求刑 被告人東海興産につき罰金二二〇〇万円、被告人小河につき懲役一年)。

(裁判官 柴田秀樹)

別紙一の一

修正損益計算書

<省略>

別紙一の二

ほ脱税額計算書

<省略>

<省略>

別紙二の一

修正損益計算書

<省略>

別紙二の二

ほ脱税額計算書

<省略>

<省略>

別紙三の一

修正損益計算書

<省略>

別紙三の二

ほ脱税額計算書

<省略>

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例